Portfolio - 切り絵Blog 影織文庫

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鷲津 影織


目次

>アーティスト・ステートメント

>作品


平面作品
立体作品
アニメーション
AR切り絵

>プロフィール




アーティスト・ステートメント

切り絵という技法について

私は「切絵童話」というジャンルを生み出し、オリジナルの物語を切り絵で表現している。
切り絵は、白と黒・光と影のコントラストを楽しむ芸術だと言える。
ゆえに登場人物たちの人生の光と影を表現する表現技法として、切り絵こそ最もふさわしいと私は考えている。

切り絵にはモノクロとカラーの二種類の切り絵の技法を使い分ける。
モノクロ切り絵は、物語の登場人物の人生の光と闇のコントラストを強調する役目を果たす。一方、色というものは光があって初めて生まれるものなので、白黒の世界と比べてより明るく、まぶしく、生命力があふれているイメージを表現するためにカラー切り絵を用いることが多い。

また、物語中では、モノクロとカラーで二項対立を表現することが多い。
例えば死者の世界と生者の世界、抑圧された不自由な世界と自由な世界、などを表現している。


表現技法について

切絵童話の表現には、一枚絵としてのモノクロ/カラー切り絵だけでなく、絵本、動画、詩画や立体作品などの幅広い手法を用いている。
それは、「物語を現実に拡張する」というところに強い関心があるからである。

物語の世界を、実際に目で見て触れて楽しめるようにする。
物語を身近に、リアルなものとして感じられるようにする。
鑑賞者が、物語の世界に干渉しているかのような錯覚を与える。
そんな作品を作りたい。

そのため、最近はARなどのテクノロジーを用いることで、よりリアルに空想世界を現実化するべく試行錯誤を重ねている。


物語のテーマについて

物語のテーマとしては、死や別れ、拒絶や挫折の経験など、いささか暗いものを選ぶことが少なくない。
それらについて、「どうしてこんなに悲しいことが起こるのか?」という理不尽に苦悶した経験ゆえに、当時の自分、あるいは同じような境遇の中にいる誰かに向けて伝えたいメッセージを込めて物語を作っている。
その悲しみを悲観的にとらえて絶望するのではなく、それらを納得して受け入れ、前向きに希望を見出せるような物語を作ることを私は目指す。

切絵童話の手法を用いることで、悲しみの昇華の物語を、実際に手に取り、より深く味わえるように意図しているのだ。


作品

本(自費出版)

「記憶の司書」

2016.7
B6サイズ
出版社 ブックコム
制作期間 半年
リトの仕事は、宿主である人間の頭の中で記憶を整理することです。不要な記憶は屑籠へ、大事な思い出は棚へ。リトの宿主が失恋したある夜、屑籠からがたがたと物音がしました。そこから飛び出してきたのは、悲しみから生まれた大きな怪物でした。






小説「鳥を夢みた男の話」

2018.5
A5サイズ
製作期間 3カ月

壁に囲まれ、全ての生き方が定められるヤルヴェッキ国。
そこで暮らす人々は、モノに宿る記憶から取り出した「夢」を買い求め、
己が生き得ない人生を観覧することを唯一の娯楽としていました。

羊皮紙工アスールは、ある日、仲間の徒弟達と共に壁の外に住む生き物の夢を見ます。
アスールは夢の景色に感動しましたが、徒弟らはその夢を気味悪がり、アスールを小馬鹿にするのです。

傷心気味のアスールが出会ったのは、夢中毒者として街一番の嫌われ者の大工ヴォルターでした。
この出会いが、アスールの人生を大きく変えて行くことになるのです。


平面作品

切絵壁画 シャラール王子とツェヴィ王子

2017.5
COMPLEX展 出品作品
A3サイズ
総製作期間1.5カ月

昔々、シャラールとツェヴィという双子の兄弟が生まれました。しかし司祭ベネベラクが、双子は凶兆だと王に進言したことで、弟のツェヴィは森の奥に捨てられてしまいました。
幸いツェヴィは森の奥に住む賢者に拾われ、シャラールも王宮ですくすく育ちました。
15年後、ベネベラクの企みによって森に迷い込んだシャラールは、生き別れの弟と再会を果たし、しばらく森で楽しいひと時を過ごします。
シャラールが王宮に戻ると、父王は心労で亡くなっており、ベネベラクが王として立っていたのです。そしてシャラールは王子の名を騙る偽物として牢獄に捕らえられてしまいました。その噂を耳にしたツェヴィは…
(小説全文リンクはこちら


Joseph Campbellの神話論をベースに英雄物語を作り、そこに切り絵をあてました。古代から伝わる「壁画」として切り絵を見せることで、本作があたかも実在の昔話であるかのように感じてもらうことを狙いました。 

立体作品

小鹿郵便

2017. 8
濃黒切り絵展 出品作品
20cm×20cm×13cm
製作期間2週間

あなたの言えなかった言葉はなんですか。
後悔していますか。
今はもう、届かないですか。
届かないと、諦めてしまいましたか。

伝えたかった言葉と届け先のあの人を思い描いて、
このゾートロープをそっと回してみてください。
距離を超えて、時空を超えて、その思い、あなたの代わりに届けます。

音信不通になってしまった人、遠くへ行ってしまった人、絶縁してしまった人、この世ではもう会えない人…そんな相手に伝えそびれた思いを届ける小鹿の配達員を作りました。
ゾートロープを回すと、あなたの思いがハートになって降り注ぎ、ひとつひとつ丁寧に箱詰め・ラッピングされます。
小鹿の配達員はそれをひょいっと背中に乗せて、届け先へと向かうのです。






蚕の少女達

2017.2
切ってみま蝶REAL 鱗翅目 切り絵展2017 出品作品
憧憬        A4サイズ
蚕蛾(繭) 17cm×17cm×5cm
冬虫夏草   17cm×17cm×5cm
蚕蛾(成虫)17cm×17cm×5cm
総製作期間3週間

生糸(いと)や生薬(くすり)をつくるため
次の生命をつなぐため
つくり出された少女達

管理されねば生きられぬ
管理されるは死のために

悲しき輪廻の輪を抜けて
少女らはただ夢を見る
標本箱に護られて
星まで翔ける夢を見る








カイコは、成虫になると口を持たず、また翅があっても飛べません。仮に幼虫の段階で野生の中で生きようとしても、体が白くて狙われやすく、しかも木に掴まる肢の力がなく、ぽとっと落っこちてしまうようです。つまり、人間の管理なしに生き永らえることの出来ない体のつくりになっています。

カイコの少女達は幼虫の頃、そんなことつゆ知らず、空を飛ぶお姉さん蝶達を見て「自分達も大きくなったらきっとみんな仲良くあんな風に空を飛ぶのだ」と憧れます。しかし、現実には、生糸や冬虫夏草の材料とされ、一部の蚕しか成虫にはなれません。また、成虫になれても、空を飛べず、長く生きる事も叶わないのです。

「生糸」「生薬」「次世代の生命」と、「生」を作り出すため、彼女達は死を求められますが、夢の中で星まで自由に翔けることができたらいいな、という思いをこめました。
決してハッピーな物語ではないけれど、そこに救いがあればいいなと思うのです。 

アニメーション

黒猫カボとハロウィンのはなし

2017.10
製作期間1.5カ月

今日は年に一度のハロウィンの日。
黒猫のカボはかぼちゃをかぶって街へ繰り出しました。カボはそこで3匹の黒猫と友達になり、街を楽しく練り歩きます。夜明け前、4匹は丘へ登ります。そこで見つけたのは…。



パラパラ漫画の要領で、コマ撮りの切り絵写真を繋げ、動画を作成しました。


紙で奏でるサイエンス 掌編アニメーション 「理系の国の来訪者」

2019.6
製作期間 1カ月

小さな惑星に住む孤独な音楽家の家のそばに、ある日宇宙船が不時着しました。
中から現れたのは、理系の国から訪れた旅人。
言葉ではわかりあえなくても、音楽を通じて二人は仲良くなるのでした。




AR切り絵

AR.jsでの作品群

2019
切り絵2人展「紙で奏でるサイエンス」で展示した作品を中心として、AR.jsを使ったAR切り絵作品を動画にまとめました。


召喚

2019.8
15cm×9cm(魔法陣)
製作期間14日間

切り絵で作った魔法陣に、3Dモデルの犬の守護神をARで浮かせてみました。
Unity, Vuforia, Sculptris, Blenderを使って実装しています。



プロフィール

<活動名>
鷲津 影織(わしづ かげおり)

<連絡先>
Email : kageori0424@gmail.com
Twitter : @kageori_w
Blog : 影織文庫 https://kageorism.blogspot.jp

<経歴>
1992.4.24 東京で生まれる
2015.3 東京大学教養学部卒業
2016.4 切絵童話作家 影織として活動開始
2016.11 ブログ「影織文庫」開設

<展示経歴>
切ってみま蝶REAL 鱗翅目 切り絵展2017 (2017.2.11-17 @Beauty and Gallery hana*輪)
COMPLEX展 (2017.5.10-17@Cafe Gallery幻)
濃黒切り絵展 (2017.8.24-9.8@アトリエキプリス)
個展「鳥を夢みた男の話」 (2018.5.1-5 @ River Coffee & Gallery)
濃黒切り絵展 (2018.9.13-9.30@アトリエキプリス)
Жар-Птица 不死鳥によせて(2019.3.5-3.17 @River Coffee & Gallery)
第一回 切り絵博覧会 (2019.4.1-4.21 @Gallery Regalia)
二人展「紙で奏でるサイエンス」 (2019.6.24-29 @銀座奥野ビル ギャラリーカノン)

<著作・メディア掲載>
「鳥を夢みた男の話」(自費出版) http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I028973895-00
「孤独と連帯の回遊——solitude, solidarity」 現代思想2018年12月号 特集=図書館の未来
「亥」東京大学 学内広報1518号 表紙  https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400107761.pdf

<受賞>
2019 第3回紙のある暮らし 紙ものコンテスト 優秀賞

Portfolio Portfolio Reviewed by 影織 on 5月 01, 2018 Rating: 5