うまく受け流す技術のお話

私は10年ほど武術を学んでいます。
例えば、人を投げる業を遣う時、がつっとまともにぶつかると、体格の大きい相手や、体重の重い相手に簡単に吹き飛ばされてしまいます。また、その状態でどうにか業を遣えたとしても、無理な力を使うことですごく疲れてしまったり、筋を傷めそうになったりして危ないんですよね。
しかし、まっすぐ突っ込んでくる相手に対し、うまいこと力を受け流すように業を遣うことで、相手の体格問わず、うまく投げ飛ばすことができるんですね。

そんな風に、うまく受け流す、という技術は結構大事だな、と感じたのです。


人に対して何かムッとするようなことがあった時、
人の行動に困惑した時、
人の態度にショックを受けた時。
何か人の言動に心揺さぶられる時、いちいち反応しないでスルーすることで、自分も心に不要なケガを負わず、うまく生きられるのだと思います。

もちろん、大事な相手だったら、きちんと伝えるべきことは伝える必要があるでしょう。
でも、例えばSNS上でたまたま見かけた人のように関わり合いが薄い人や、大事にしたいと思える関係にはない人ならば、少し心の距離を置いて、うまく受け流すのが大事だな、と思ったのです。

「こんなひどいことがありました!」とか、「こんなこと言うなんて信じられません!」など、正義を振りかざして真正面からぶつかっていくと、もし相手の力が大きければ、弾き飛ばされて傷つくかもしれません。どうにか相手をねじ伏せたとしても、自分もひどく消耗するでしょう。最初にあげた武術の例と同じで。


何かぎゃふんと言わせてやらないと気が済まない、黙っているのは負けた気がする。
そう感じるかもしれません。
「相手にぎゃふんと言わせたい」「相手に勝ちたい」のは、突き詰めると自分の安心や安全が欲しいから、ですよね。
よく考えれば、受け流すことで、必ずしも相手を屈服させたり、勝ったりしなくても、安心や安全を手に入れることはできるのです。
受け流すことで、無為に傷を負って苦しむことも防げますし、相手と距離をとって仕切り直すことができるからですね。


また、受け流すとはいえ、心が揺れたことを我慢したり、なかったことにするのではありません。
心揺れたら、それは別途自分一人でその時の感情に向き合うのです。そこに相手を巻き込まない。相手になんとか機嫌をとってもらおうとしないことです。

やられっぱなしの環境に無理してい続けろ、というわけでもありません。
きつい環境から離れるのも、受け流すための第一歩です。

受け流すというのは、
・反射的に言い返したり、やり返したりするのを思いとどまる
・ほっとく
・反応しない
などなど、相手をどうにか自分の思い通りに変えようとするのを止める、ということだと思うのです。
武術でもそうですね。まっすぐ突っ込んでくる相手の軌道やスピードを無理に変えるのではなく、うまいこと自分から動いて受け流すのです。


まとめ

武術でも人生でも、うまく受け流すスキルを身につけたい、と思ったお話でした。