昨日は、物語を作るきっかけが生まれるのはどんな時か、という話をしました。
今日は、その生まれた物語の種をどのように膨らませるか書いてみます。

物語は、原因と結果、その一連の出来事に意味やメッセージを見出すことで面白いと感じる、と考えているので、私が物語を書く時には筋道を大事にしています。

具体的には、断片的なネタを思いついたら「なんで?」「それで?」といっぱい問いかけながら物語の大枠となるプロットを作るようにしています

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例えば、「主人公が眠り病にかかった王女を助けるために、薬草採りの大冒険をする」という断片ネタを思いついたとしましょう。
その場合、なんで助けに行くの?助けに行ってどうなるの?をつきつめて考えます。

なんで?を考える

なんで?の部分は、王女に惚れていたから、など思いつくかもしれません。
しかし、惚れているだけで、助けに行くかな?とツッコミを入れてみます。
そうすると、王女を助けることでがっぽり報奨金をもらえるというのもあるから助けたい
←主人公は貧乏でお金が欲しいから
←主人公が貧乏なのは、病気の妹がいて、その治療費が高額だから
←妹の病気の原因は、実は王女の眠り病と関係があると思った、また王女と妹を重ねて見てしまい、助けたいと思った
←じゃあ、妹は既に亡くなっていて、助けられなかった後悔があるとかの方がいいかな?
…などと話をふくらませることができます。

こうして話を広げていくと、
主人公は貧しいのに、眠り病や薬草の知識を持っているんだろうか?
というか眠り病ってどんな病気なの?伝染するの?
大冒険ってどんな冒険?恐ろしい敵や獣に出会うの?
貧しい主人公は一人でそんな冒険に行けるの?誰かが助けてくれるの?
など、どんどん「なんで?」「なに?」の疑問が増えてきます。
それに答えていくように設定を作っていくのです。

ポイントとしては、主人公の髪の毛の色は?とか、薬草の名前は?というような、物語に大きく響かないところを追いかけすぎないようにすることかなと思います(細かい設定を詰めるのは楽しいのですが、そこで止まってしまうと無限の時間がかかってしまいます)。
そうでなく物語の世界観を決めるような重要なところをつぶしていくようにすることです。


それで?を考える

また、「主人公が眠り病にかかった王女を助けるために、薬草採りの大冒険をする」の結果も考えていく必要があります。
大冒険した結果、薬草を手に入れられるのか、手に入れられないのか。
王女を助けられるのか、助けられないのか。
王女と結ばれるのか、結ばれないのか。

ここで考えるとヒントになるのが、物語を通じてどんなことを伝えたいかかな、と思います。

例えば、亡き妹を思う兄の強く優しい心を描きたいのならば、薬草により王女が助かり、妹を救えなかった痛みから解放されていく、という流れになるでしょう。
あるいは、仲間・友情の大切さを描きたいのならば、一緒に冒険している仲間が旅の最後に眠り病を発病してしまい、褒美をもらうのを諦めてその薬草を仲間に使って助ける、なんて展開もあるかもしれません。

書きたいラストによって、例えば後者のラストに仕上げたいのなら、かつて眠り病で亡くしたのは妹でなく、兄弟同然に育った親友の方がいいかもな、そうしたらかつて救えなかった後悔と重なって、さらに劇的になるかもしれないな、などと修正していくことになるかもしれません。


なんで?それで?でプロットができる

今回書いた眠り病の話は、即席でネタを決めて書いてみたのですが、なんとなくプロットらしい原形ができました。

こうして「なんで?」「それで?」を繰り返し問いかけては、一問一答形式で考えていくと、それがプロットになります。
これをもとに肉付けして、物語を書いていけばよいわけです。


ということで、今日は物語を膨らませる方法について書いてみました。