「ささいなことにもすぐに『動揺』してしまうあなたへ。」読了

「ささいなことにもすぐに『動揺』してしまうあなたへ。」は、"HSP(Highly Sensitive Person)"、敏感過ぎる人のために書かれた本です。


HSPの人は、五感がとても繊細だったり、人の機嫌や周囲の環境の微妙な変化に気づきやすかったりする一方、

動揺するような状況やプレッシャーに弱かったり、周りの人が何も気にしないけれども、自分には強すぎると感じる刺激(音や匂いなど)に消耗してしまうなど、生きづらさを感じることがよくあります。

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この本では、敏感で繊細過ぎる自分と付き合っていくにはどうしたらよいのか、HSPの生活や健康、仕事や人間関係などについて多面的にわかりやすく解説されています。

その中でも、一番印象深かった「ひきこもり」についてここでは書いてみましょう。



世界と断絶されたい


HSPの人は、自分の体のケアをする上で、働きすぎや責任の負い過ぎ、冒険のしすぎで刺激過多になる「無理のしすぎ」か、

世に出ていきたいと思いながらも、必要以上に自己防衛的になってしまう「ひきこもり
という問題に直面する、と書かれています。


私の場合、
・自分にとって、この世界は刺激が多すぎてきつい、でも誰にもわかってもらえない
・自分が弱いからいけないんだ
・あと何十年どれだけ傷つけられればいいんだろう
・もっと強くならないと、社会の波の中で死んでしまう(殺されてしまう)

だからがんばれがんばれ、と、小さい頃から頑張りすぎてきたように思います。


社会に出ても意外と死なないことに驚いて(学生時代、社会というものは厳しすぎて自分には到底生きていけないと大真面目に思っていました笑)

それから頑張りすぎを少しずつ緩めて、刺激に弱い自分を理解してくれるパートナーに会って、
ようやく生きやすくなってきました。


しかし、今度は反対に振れて、最近は厭世的なひきこもり状態になってきている、と気付いたんですね。

山にこもって仙人のように暮らしたいとか、人間に会うのが怖いとか(自分も人間でしょうが!笑)。

世界から断絶されて、とにかく一人で生きたい(それじゃ生きていけない)。




本書では、そんな「ひきこもり」スタイルに対して、こんなたとえ話が引かれています。

ある男が人生のあらゆるストレスから逃れようと、洞穴に隠遁し、昼夜問わず瞑想して過ごした。しかし、すぐに彼はその洞穴から飛び出してしまった。洞穴の中でしたたる水の音に耐えられなくなってしまったというのだ。(p.103)

つまり外からの刺激を避けるほどに、刺激に対して弱くなってしまうのです。
HSPゆえの敏感さからくるストレスは、結局どこにいても存在するので、うまく折り合いをつけていく必要があるんですね。


そのヒントは、以下のように述べられています。

動けば動くほど、カラダは楽になっていくということだ。閉じこもっていないで、窓から外を眺めたり、ボウリングをしに行ったり、人とおしゃべりしたりしていれば、あなたのカラダはだんだんと困難を感じなくなる。これは習慣化と呼ばれるものだ。もしそれが習得可能なスキル()技術だとすれば、やればやるほどそのスキルは上達する。…世の中のつらさに耐え、自分なりに楽しむすべを見つける方策は、とりあえず世の中に出てみることなのだ。(p.103-104)

おそらく、「芸術家であること」の苦しみは、「ひとりで仕事をすること」から来るのだと思う。どんな「ひきこもり」も敏感さを高めるが、外の世界に出て、自分の作品を人に見せたり、演じたり、説明したり、売ったり、批評を読んだり、評価や拒絶を受け容れたりしなければならない時には普段のひきこもりがわざわいして、神経が高ぶってしまうこともある。…敏感な芸術家の「苦しみ」のほとんどは、予防できるものだ。先ほど説明した、「刺激の少ない孤独な創作生活」と「刺激の多い公衆の面前に出る生活」のギャップによって起こる精神的アンバランスを理解しさえすればいい。(p.199-200)

逆説的ですが、外界とつながりを持って刺激を受けることが、「ひきこもり」の原因となるストレスの苦しみから逃れるのに大事だということが、私にとって大きな発見でした。


まとめ

しっかり外と関わることと、一人の時間をとって内省すること。
HSPの人は、そのどちらの時間もバランスよくとっていく必要があります。


怖いですよね。私も少し怖いです。
けれども、勇気を出して世の中と関わっていこうと思います。


今回ご紹介した本には、記事で取り上げた内容だけでなく、仕事や人間関係で気を付けておくといいことや、繊細な自分の心や体のケアの仕方など、HSPが生きやすくなるヒントがたくさん詰め込まれていました。

HSPの人にはもちろん、非HSPだけれどHSPの家族や恋人がいる人にもおすすめしたい一冊です。