ARアートの表現について考えたメモ。


AR切り絵の見せ方の悩み

私の作品は、切り絵に背景をつけず、そのまま白紙の上に置くことが多い。

例えばこれとか。


ARを作る際は、ご覧の通り、切り絵そのものの上にAR切り絵レイヤーを重ねて表示している。

しかし、ARの切り絵自体が割とよく動くので(例えばろくろくびの首が伸びるとか、鬼が走ったり飛んだりするとか)、スマホ越しに見ていると、本物の切り絵とAR空間の切り絵が重なって見づらいことがある。

そこで、どうにかいい対処法がないか、と考えてみた。


2種のARアート

ARアート作品を色々見ていった結果、レイヤーを丸ごと重ねる方法と、エフェクトを足す方法の2種類があると気づいた。
前者はこんな感じで、


後者はこんな感じ。
便宜上、レイヤー法とエフェクト法と名前をつけてみる。

レイヤー法は、作品そのもの(切り絵)に、ピッタリ同じ大きさの新しいレイヤーのAR画像を重ねて、本物の作品を覆い隠す

一方でエフェクト法は、作品そのものが見えている状態で、その周辺にプラスアルファのエフェクトを足すことになる。

私のやり方はレイヤー法に分類されるだろう。





しかし、レイヤー法が有効なのは、レイヤーで本物の作品を完全に覆い隠して、見えないようにした状態だと思う。

私の場合、妖怪がアニメーションして変形することで、覆い隠すべき本物の作品が露出してしまって、絵の中の情報量が増えてしまい、見づらくなっている。

ということで、レイヤー法は最初に例示したInstagram作品のように、一枚絵のレイヤーが変形したり、動き回ったりしない時に有効なのだと思う。

ただ、絵巻のような長いもの、開き方によっては表示サイズが変わりうるものに対して、レイヤーを出すのはちょっと大変かもしれない。


エフェクト法は、本物の作品そのものは隠さないで、その上や周りに配置するので、レイヤーのサイズについて考える必要がなくなる。

ただ、切り絵そのものをアニメーションして重ねる、みたいなことをするのは難しい(まさに私が直面した、見づらい問題が出てきてしまう)。


じゃあ、改めてどのような作品の見せ方にしようか。


AR切り絵の見せ方の工夫・使い分け

1) レイヤー法を使う

一つは、絵のレイヤーを全面に重ねてしまうことだろう。

絵巻のようなものでは難しいかもしれないが、絵本なら大きさが固定されるので、その本にピッタリ重なるサイズ・位置でレイヤーを作って、そこに重ねてしまうのだ。


ところで私の絵本の背景がシンプルなのは、(あんまり上手に背景が描けないのもあるが)つい文字数が多くなってしまいがちなので、文章を入れると絵を入れるスペースがなくなってしまうから、という理由がある。

しかし例えば絵本から一切の文字を取り払い、ストーリーは朗読再生するなどして、白紙の部分を減らし、もっと絵の情報量を増やして表現すると、かなり見応えが出てくる気がする。

2) エフェクト法を使う

エフェクト法でアート作品をめちゃくちゃ面白く見せていた例として、こちらの作品がすごく良かった。


人が立っているだけのすごくシンプルな絵が、ARによって影や背景がどんどん変わって、物語を展開していく。

ARを介さない絵自体はすごくシンプルなものになりそうだが、ARとともに楽しむことで、壮大なストーリーが見えてくる、という表現ができて面白そうである。


まとめ

作品のコンテンツについては、いつも慎重に考えるが、今回改めて見せ方について考えることができて良かった。

2種のやり方を作品に応じて使い分けて、より面白い読書体験を提供したい。