文字通り、絵に「指を置く」ことで楽しむというとても面白いコンセプトの本に出会ったので、ご紹介します。

この ' i ' の文字が書いてあるところに人差し指を乗せると

なんだか風船をおさえている気分になる。

こんな感じの作品が、他にもいろいろあります。
刺される刺される!!

怪しげな儀式のはじまり

うーん…深いぞ

この本と関連して、こんな動画を思い出しました。

 


 画面の中心部をタッチしながら動画を見ると、あたかも自分の指でスイッチを押したり、風船を割ったりしているかのように感じます。

これも、先に紹介した本と同じで、影響を与えるはずのない場所に自分が影響を与えているような錯覚を覚える仕掛けが凝らされています。

読書や動画視聴の際、(受け手がページをめくったり、再生ボタンを押したりする必要がありますが、)そのめくる手が物語とかかわりあるものとして意識されることはないでしょう。
しかし、この本や動画では「あたかも図版中の出来事を自分自身がひきおこした、あるいは、自分自身がある状況に巻き込まれてしまったという、まさに自分自身に関わる強い感覚」(p.54)伴う状況になっているのです。

実際に本に手を置いてやってみると、「指を離して見ているとただの絵だ!」「でも指を置くとホントに私がこの絵に働きかけているみたいだ!」という強烈なアハ体験を繰り返し体感できるので、ものすごく面白いです。

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今回、この本を見つけて、「あ、自分が作ってみたい物語は、物語に読み手が働きかける、まさにこんな感じのものだ…!」とすごくしっくりきました。

物語をめくる手、読み手自身の存在を意識させるような作品…具体的にどんな物語を作っていけばいいのか、まだまだ模索中ですが、じっくり研究していきたいなと思います。