こころの終戦記念日 - 切り絵Blog 影織文庫

こころの終戦記念日

ゆるせないことがあった
ゆるせない人がいた

つらい記憶を
ずっと握りしめていた
ずっと忘れないように、刻み付けていた
ずっと風化しないように、注意深く見張っていた

この悔しさをばねに
この憎しみをばねに
いつまで戦う?
いつまでも。


ゆるしたくなかった人は
本当はだいすきな人だった
それがたまたまねじれて歪んで
あの日
だいすき、をだいきらい、に反転させるために
傷ついた記憶をしっかり握りしめることにしたんだ

ゆるさない、ゆるさない、ゆるさない、と繰り返しているうちに
ゆるさないはゆるせないになった


時が流れた

どこからか風がふいて、何度も古傷が痛んだ
風はただ通り過ぎただけ
隠し持った古傷がずっと痛んでいるだけ
古傷が治らないのは
鋭くとがった記憶で繰り返し傷つけているから


時が流れた

痛む古傷を治そうと決めた
ゆるせない、を思い出して
怒りを味わって
悲しみを味わって
憎しみを味わって
それから
だいすきを思い出して

のたうち回って
からっぽになった


きょうはこころの終戦記念日
握りしめていた手をゆるめて
記憶は風にほどけて
空はとっても青かった

こころの終戦記念日 こころの終戦記念日 Reviewed by 影織 on 7月 17, 2018 Rating: 5