虫眼鏡のたとえ話

虫眼鏡を持っていた。

ひらりと落ちた雪の結晶をみようとしたら、
隣にいたげじげじ虫がぐんと大きく映った。
びっくりして虫眼鏡を放り出したら、
雪の結晶も見えなくなってしまった。

小さいものを高解像度で見るということは、
いいものも嫌なものもくっきり見えるということ。
綺麗な雪の結晶が見えて、
気持ち悪い虫が見えない虫眼鏡、はない。

気持ち悪い虫ばっかり
うぞうぞと見つけてしまって
虫眼鏡を片付けたこともある。

もういいやって。

でも、
映るものが雪の結晶であれ、虫であれ、
くっきりと観察できるそのことが幸せだったんだと気づいたから
もう一回虫眼鏡を取り出した。
そうしたら、
これまで見えなかった美しい世界をたくさん発見したんだ。

今日も虫眼鏡を取り出していろんなものを観察する。
とびきり美しいものと、
うんざりするほど嫌なものと、
じっと見て、観察日記をつけて、
それがぜんぶ幸せなんだなぁと思う。